*ケーススタディ「障がい」はどう書かれていたか:太陽コーパスによる調査 [#r2ef8563] **問題 [#cdae248c] -[[asahi.com(朝日新聞社):「鷹」「碍」など追加して…新常用漢字試案へ一般意見 - 文化>http://www.asahi.com/culture/update/0513/TKY200905130306.html]] > 「碍」の追加希望は20件。「障害」は戦前は「障碍」などと書いたが、「碍」が当用漢字にならなかった戦後、「障害」への書きかえが定着した。しかし近年、「害」は負のイメージが強いとして、行政文書などで「障がい」と表記する自治体が相次いでいる。 -[[「障害」と「障碍」について - もじのなまえ >http://d.hatena.ne.jp/ogwata/20090514/p1]] > 上記のうち、「「障害」は戦前は「障碍」などと書いた」はウソです。 -[[小川創生@檸檬の家: 明治の法令にも「障害」の用例あり…むしろ「障碍者」こそ新語>http://blog.motoyuki.net/2009/03/post_9be8.html]] **『日本国語大辞典』(第2版)で調べてみる [#u95dc0cc] -しょう‐がい【障害・障碍・障礙】 --①さまたげをすること。じゃまをすること。また、そのさまたげとなるも の。さわり。しょうげ。 ---「障碍」の初例 蛻巖先生答問書〔1751~64か〕 ---「障礙」の初例 会社弁〈福地桜痴〉叙(1871)〈渋沢栄一〉 ---「障害」の初例 布令字弁〔1868~72〕〈知足蹄原子〉 --②精神や身体の器官がなんらかの原因でその機能を果たさないこと。また、その状態。---或る「小倉日記」伝(1952)〈松本清張〉 **太陽コーパスで調べる [#u6868cd8] -''障[害碍礙]''で検索(正規表現) &ref(taiyo.png); -検索結果をExcelにコピー &ref(excel.png); -ピボットグラフでグラフ化 &ref(graph.png); -割合(100%積み上げ棒グラフ) **その他 [#q86c2da5] -''障[害碍礙]者''の用例は見あたらず ***日国②のはっきりした用例 [#zaf8846b] -「障害」 --『太陽』1901年9号「胃病と自転車」吉田生(抄訳);フュールブリシゲル ---食慾''障害''には卓効あり。 -「障碍」 --『太陽』1925年1号「輓近に於ける食餌療法の進歩」高田蒔 ---内分泌腺の機能''障碍''と新陳代謝病との關係(p.102) ほか7例 --『太陽』1925年1号「内分泌学説の歴史的回顧」永井潜 ---忽ち各種の病的''障碍''が起る (p.226)ほか2例 ***『太陽』より古い例 [#c1360fe5] -「障害」 --『明六雑誌』1875年36号 ---學問上ニ多少ノ''障害''ヲ生ズルコトナキヲ -「障碍」 --『明六雑誌』1874年6号 ---魔王ト雖絶テ其自由ヲ''障碍''スルコト能ハズ -「障礙」 --『国民之友』1887年12号 ---保守主義の爲に、其目的''障礙''せられたり ***青空文庫 - Himawari2009GW版 [#i00afb44] --障害:287例 --障碍:122例 --障礙: 74例 &ref(aozora_himawari.png) ***『新潮文庫の100冊 明治の文豪』 [#wdcf452f] --障害:10例 --障碍: 2例 --障礙: 3例 ***注意 [#ge6bfec4] -青空文庫などのテキストでは(底本の段階で)表記が改められてしまっている可能性がある -呉音で「しょうげ」と読む仏教語が紛れている可能性もある